はじめに:あなたは一人じゃない!子育ての「関わり方」の悩みは共通です
毎日、わが子の愛らしい笑顔を見ながら、育児に自信がない、正解はどれ?ともやもやしてしまうことはありませんか。
「この遊び方で本当に良いのかな?」
「どう話しかけたら、この子の気持ちが伝わるんだろう?」
「こどもが癇癪を起したとき、どう共感してあげればいいの?」
実は、これは現役保育士として、そして現役ベビーシッターとして多くのお子さんとご家庭に関わってきた私が、最も頻繁に耳にするお悩みであり、親として子育てをした中で強く感じていた部分でもあります。子どもの成長を願う親御さんだからこそ、関わり方やコミュニケーションに頭を抱えてしまうのは当然のことですよね。
安心してください。あなたは一人ではありません。
この記事では、世界中の教育現場で100年以上の実績を持つモンテッソーリ教育の考え方を基本に、0歳から6歳までの乳幼児・未就学児との日常的な関係づくりに役立つ、具体的かつ実践的な方法をたっぷりご紹介します。
私が保育現場やご家庭で実際に試して、効果を実感したテクニックも公開します。この知識を取り入れれば、あなたのお子さんは自己肯定感に満ちた、自立した子へと育っていくでしょう。
さあ、私たちと一緒に、最高のコミュニケーション術を身につけ、子育てをもっと楽しめるようになりましょう!

【基本の考え方】モンテッソーリが導く「子どもの世界」
まず、私たちが持つべき最も大切な視点は、「子どもの本質」を理解することです。モンテッソーリ教育では、子どもを「自らを成長させる力」を持った存在として捉えます。
吸収する精神(0~6歳)
この時期の子どもは、スポンジのように周囲の環境を無意識に吸収し、自らを形成していきます。
「保育者が教え込む」のではなく、「子ども自身が環境を通して学ぶ」のです。親の話し方、家庭の雰囲気、触れるものすべてが、彼らの「吸収の素材」となります。←大事!
敏感期
特定の能力を驚異的な集中力で習得する時期のことです。言語、秩序、運動、感覚など、それぞれに最も伸びやすい旬の時期があります。
【現役保育士・シッターの実体験】
保育園で、まだおしゃべりも十分ではない1歳くらいの子が、食器や絵本をきれいに並べることだけに数十分間も集中し続ける様子を目の当たりにすることがあります。これはまさに「秩序の敏感期」が全開になっている証拠。大人が邪魔をせず、整った環境を用意するだけで、子どもは自然と「お仕事(活動)」に没頭し、その能力を磨き上げていくのです。この驚くべき集中力こそが、モンテッソーリの原点です。
親の役割は、この「敏感期」を逃さないよう、適切な環境(遊び)を提供し、「そっと見守る」ことなのです。
「あら、上手に並べたわね。」の言葉は集中している子供には不要。「私って褒めてあげる良いママ」なんて勘違いしないでくださいね。集中を途切れさせないで見守りましょう。

✅ STEP1:「観察」こそ最高のコミュニケーション
「どう関わる?」の悩みは、まず「観察」で解決の糸口が見つかります。モンテッソーリの教えの根幹は、「まず観察し、それから援助せよ」です。
観察は「ジャッジしない」こと
子どもが何かに夢中になっているとき、大人はつい「それは危ない」「もっとこうしたら?」と口を出してしまいがち。しかし、真の観察とは、大人の価値観で評価・判断せず、ただその事実を記録するように見つめることです。
- 何を、どんな表情で、どれくらいの時間行っているか?
- 何に困っているか、それとも何を楽しんでいるか?
- その行動は、今、どんな敏感期に繋がっているのか?
【現役保育士・シッターの実体験】
あるシッター先の3歳の子が、積み木を高く積んだ後、最後に置いたピースが落ちてしまい、悔しそうにしていました。お母様は「あー、惜しいね、手伝ってあげる」と言いかけました。私はあえてだまって、見つめています。すると、その子は自分で落ちたピースをもう一度持ち上げ、今度は場所を変え、驚くほど丁寧にそっと置き直しました。そして、完成したときに最高の笑顔を見せたのです。
手伝おうとした母親は過去の私。母親が必ず通る道なのかも知れません。でも、育児の現場に繰り返して関わるにつれ、口出しをしがちな親に育てられた子と、見守ることを知っている親に育てられた子の「成長・自立」に大きな差が出るのを何度も感じてきました。
大人の援助を我慢した結果、子どもは失敗から学び、自分で課題を解決する力(自己教育力)を育みます。このとき、保育者と子どもの間には、言葉ではない深い信頼のコミュニケーションが成立したのです。観察によって、子どもが本当に求めているものが見えてきます。
✅ STEP2:子どもの発達段階別!賢い「遊びの提供方法」(0歳〜6歳)
「どうやって遊ぶか」の答えは、子どもの発達(敏感期)に合わせた「環境の提供」にあります。大人が遊んであげる必要はありません。集中できる環境を用意することが、最高の遊びの提供です。
| 敏感期(目安) | 必要な環境(お仕事) | 【私からのアドバイス】 |
| 0~3歳:感覚、運動、言語、秩序 | 本物の素材(木、ガラス、布)、日常生活の練習(拭く、注ぐ、ボタン留め)、絵本 | おもちゃは少なく、本物志向で。積み重ね、分類、水、砂遊びなど繰り返しできるもの。空想の幅が広がるもの。 |
| 3~6歳:微細運動、数、文化 | 具体物を使った算数(数棒など)、ひらがな/数字のなぞり、地図や動植物のカード | 「なぜ?」「どうなる?」を引き出す題材を。複雑な手順の日常生活の練習(料理、洗濯)を一緒にしてみよう。 |
【現役ベビーシッターの実体験】
多くのご家庭で「おもちゃをたくさん与えすぎている」と感じます。あるお宅では高価なおもちゃが溢れていましたが、子どもはすぐに飽きるし、ものがあふれる事で気持ちが散漫になります。私は、おもちゃを一時的にしまい、代わりに本物のハサミ(子ども用)、小さなトング、フェルトボール、スポンジと少量の水だけをトレイにセットしました。
すると、3歳の子はトングでボールを移動させたり、スポンジで水を吸い上げて絞ったりする「日常生活の練習」に夢中になりました。これは、感覚や運動の統合、そして集中力を養う最高の「お仕事」になったのです。
💡ポイント:遊びとは、子どもの内なる成長の要求を満たす「お仕事」です。シンプルで目的のある「本物」を提供しましょう。

✅ STEP3:「話しかけ方」を変えるだけで自己肯定感がアップ!
親子のコミュニケーションの質は、大人の「言葉選び」で劇的に変わります。
保育園でも、それをわかっている職員がどれだけいるがということが、ほんとの質の良い保育園の基準ではないかとさえ私は思います。
次にモンテッソーリの視点を取り入れた、自己肯定感を育む声かけのルールをご紹介しますね。当たり前すぎる事かもしれませんので、わかっている方は復習程度にご覧ください。
否定語・命令形を使わない
「〜しなさい」「〜じゃないでしょ」という命令や否定は、子どもの意欲の芽を摘みます。子どもはあなたのモノではないんですよ。対等に対話してください。
- NG例: 「走っちゃだめ!」
- OK例: 「ここでは歩くよ。お外でなら思い切り走れるね」(行動を指示せず、環境のルールを伝え、代替案を示す)
- NG例: 「早く片付けなさい!」
- OK例: 「積み木が元の場所に戻りたいみたいだよ。お手伝いできることはある?」(行動の理由や目的を伝え、自発性を促す)
質問攻めにしない
大人が答えを知っている質問(「これは何色?」「何して遊んでいるの?」)は、子どもの集中を中断させます。集中しているときは、沈黙で寄り添いましょう。
「結果」ではなく「努力」を承認する
褒めるときは、「よくできたね」という結果の評価ではなく、「プロセス」や「努力」を具体的に認めましょう。
- NG例: 「上手ね!天才だね!」
- OK例: 「一生懸命、最後まで運べたね。力がついてきたのがわかるよ」
- OK例: 「この絵の緑を塗るのに、すごく集中していたね。その気持ち、伝わってきたよ」
【現役保育士の実体験】
朝、登園しぶりで泣いていた4歳の女の子がいました。いくら「大丈夫だよ」と言っても効果なし。そこで私は言いました。「ママと離れるのがすごく寂しくて、心臓がドキドキしているんだね。その気持ち、よーくわかるよ。」
彼女は、私の顔を見てうなずきました。感情を言語化して共感したことで、彼女は「この先生は私の気持ちをわかってくれた」と感じ、安心感を得られたのです。その後はまず泣き止むと、ゆっくりではあるけど私に手を預け、保育室に入ることができました。

【応用編1】:共感の言葉で子どもの気持ちを「見える化」するテクニック
子どもの感情を受け止めることは、彼らの心の成長にとって最も重要なお仕事です。
感情のオウム返し(ミラリング)を徹底する
子どもが泣いたり怒ったりしているとき、大人は解決策を提示しがちですが、まずは感情を「見える化」して返してあげましょう。
- 「あぁ、積み木が崩れてしまって、悔しいんだね」
- 「もっと遊びたかったのに、お片付けの時間になって、悲しいんだね」
- 「お友達に先に取られちゃって、いやな気持なんだね」
このとき、大人の感情は入れず、子どもの気持ちを客観的な事実として伝えます。子どもは「自分の感情を理解してもらえた」と感じ、感情のコントロールを学ぶ第一歩となります。
叱るべき時の「I(アイ)メッセージ」
危険な行為や他者に迷惑をかける行為は、毅然と止める必要があります。しかし、人格を否定するような叱り方は避けましょう。
「Iメッセージ」とは、「私は(I)こう感じた」と伝える方法です。
- NG例: 「なんで勝手にそんなことするの!ダメでしょ!」(Youメッセージ)
- OK例: 「勝手に道路に飛び出すと、私はとても心配になるよ。車にぶつかったらどうしようかと胸がどきどきして悲しい気持ちになっちゃうよ」(Iメッセージ)
「あなたの行動が私にどんな影響を与えたか」**を伝えると、子どもは他者の感情を理解し、内省する力を身につけます。
【応用編2】:子どもの「やりたい」を尊重する環境づくりのヒント
モンテッソーリは「整えられた環境」の重要性を説きました。物理的な環境を整えることは、子どもの自立を促す最高のコミュニケーションです。
「子どものサイズ」に合わせて整える
子どもが自分でできる環境を整えます。
- 子どもの背の高さに合ったハンガーラックや鏡
- 自分で取り出せる位置に置いた水差しとコップ
- 子どもが座れるサイズのテーブルと椅子
手伝いすぎない「援助の哲学」
子どもが何かを頑張っているとき、「早く終わらせたい」と大人が手を出すのは簡単です。しかし、モンテッソーリは言います。「手伝ってはいけない。子どもが自分でできることを、手伝うのはいけない。」
【現役ベビーシッターの実体験】
あるご家庭で、2歳の子が牛乳をコップに注ごうとして、よくこぼしていました。お母様はこぼされないようにサッと手伝ってしまうようになっていました。
私はあえて、牛乳の量を減らし(失敗のダメージを少なくするため)、雑巾とタオルを子どもの手の届くところに準備しました。
案の定、こぼしました。しかし、彼は困らなかったし、私も黙ってみていました。すると自分でタオルを取って、一生懸命床を拭き始めたのです。
私が教えたのは、「こぼれても大丈夫。拭く方法があるよ」ということ。失敗を恐れず、自分で立て直せる環境こそが、子どもの自信を育てます。

🤫 子どもの集中を深めるための「大人の沈黙」の力
最高の関わり方は、何もしないことです。
子どもが活動に没頭しているとき、大人の些細な声かけ(褒め言葉も含めて)は、集中のバリアを破ってしまいます。
モンテッソーリの教室では、「お仕事中」は教師は基本的に沈黙し、邪魔をしません。家庭でも、子どもが集中しているときは、その「神聖な時間」を尊重しましょう。大人が口を挟まないことは、「あなたは自分でできる」という無言の信頼を子どもに送っていることになります。
見守るとは、退屈な時間ではなく、子どもの成長の瞬間を特等席で見つめている、最も価値のある教育活動なのです。
🙋 読者Q&A:よくある「関わり方の悩み」にモンテッソーリ流で回答
Q1. 兄弟喧嘩の仲裁は、どこまで入るべきですか?
A. 基本は「子どもたちが自分たちで解決できる環境」を提供するに留めます。
- 初期対応: まずは観察。「お兄ちゃんは貸してほしかったんだね」「妹ちゃんはまだ使っていたかったんだね」と、双方の気持ちを言葉にして共感します。
- 介入の基準: 暴力や危険行為がある場合のみ、身体的な分離を行います。その際も、**「人を叩くのはダメだよ」**と行為を止め、人格を否定する言葉は使いません。
- プロの視点: 仲裁で答えを出さないことが重要です。「どうしたら二人とも気持ちよく使えるかな?」と問いかけ、子どもたちに解決を委ねることで、社会性と交渉力が育ちます。
Q2. すぐに飽きる子(おもちゃを次々出す子)への対処法は?
A. それは「お仕事」の目的が不明確か、環境に刺激が多すぎることが原因かもしれません。
- 環境の整理: おもちゃの数を大幅に減らし、その子にとって今「旬」の活動(敏感期)に合ったものだけを提示します。
- 「お仕事のサイクル」を教える: 新しいものを取り出す前に、今使っているものを最後まで片付けるという「サイクル」を教えてあげます。これは「秩序の敏感期」を満たし、集中力を身につけるための大切なステップです。
Q3. 「手伝って」とすぐ言う子にはどうしたらいいですか?
A. 「まず自分でやってみる」という習慣をつけるチャンスです。
- 声かけ: 「どこまで自分でできそうかな?」「難しそうに見えるのはどこ?」と質問し、本当に必要な援助だけを見極めます。「自分でやろう」の直球は逆効果です。
- スモールステップ: 最初から完璧を求めず、「靴下をかかとまで入れるところはママがやるけど、上まで引っ張るのは自分でやってみよう」というように、子どもができる部分を切り分けて、成功体験を積み重ねさせます。
🌈 おわりに:今日からできる最初の一歩
モンテッソーリ流のコミュニケーション術は、決して特別な育児法ではありません。それは、「わが子をひとりの人格として尊重し、その成長の力を信じる」という、シンプルな親の姿勢そのものです。
「どう遊ぶか」「どう話しかけるか」の悩みは、子どもを「観察」する時間を5分増やすだけで、きっと答えが見えてきます。
今日からできる最初の一歩:
- 朝起きたら最初の5分、子どもの行動を「沈黙」で観察してみる。
- 否定語を肯定語に言い換えてみる。(例:走らない → 歩こうね)
- 子どもが夢中になっているとき、何か言いたくなっても「ぐっ」と我慢し、そっと見守ってみる。
この記事を書きながら、育児経験が浅かった私の子育ての失敗を思い返しています。あの頃は口出し、手出しが教育だと思ってたなぁ。我が子にはうまく関われず申し訳ないことをしちゃったな。
いま、現役の保育士・ベビーシッターとしてたくさんのお子さんの成長を見てきた私は自信を持って言えます。子どもの成長の力は、私たちが想像するよりも遥かにパワフルです。見守りと環境さえ正しければ、子どもはしっかり育ちます。
どんな優秀なお母さまも、初めての育児は初心者です。対個人なのでマニュアル通りにいくはずもありません。でも、この記事を読んでくださったあなたは、どうぞ、自信を持って見守ってあげてくださいね。子どもを信じて余計な事をしない「見守る育児」は子どもを存分に成長させるはずです。 あなたの子育ての旅が、愛と喜びに満ちたものになるよう、心から応援しています。



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