上の子の嫉妬・赤ちゃん返りにはどう対応?兄弟関係の育て方

子育てヒント

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待望のふたりめの赤ちゃん誕生。でも、上の子の「やきもち」や「赤ちゃん返り」に困ってしまうご家庭も少なくありません。
「どうして急にわがままになっちゃったの?」「赤ちゃんを叩いてしまった。どう伝えてあげればいいの?」と、自分の子育てに自信をなくしたり不安になることもあるでしょう。

しかし、この行動は、上の子が新たな環境に適応しようとしている「成長のプロセス」です。
「愛されたい」「役に立ちたい」という気持ちからの行動で人格や人生の土台となるこの時期、「敏感期」の関わり方はとても重要となります。

この記事では、子どもを「生まれながらに能力を持ち、権利を持った一市民」として尊重する、モンテッソーリ教育とレッジョ・エミリア教育の考えをもとに、 子どもを批判せず、親の気持ちを「私メッセージ」で「伝える」 コミュニケーションのヒントを通じて、兄弟・姉妹のいるご家庭の悩みを通して「子どもを尊重し、共に育つ」ための具体的なヒントをお伝えします。

「私メッセージ」とは: 相手を批判せず、親自身の気持ちを中心に伝え、コミュニケーションを取る方法です


上の子の嫉妬と「赤ちゃん返り」への理解

下の子が生まれると(生まれる前、おなかに赤ちゃんがいる頃から)、上の子の様子が急に変わることがあります。
それは、「自分もまだ愛されたい」「ママを取り戻したい」という気持ちと、今まで存在しなかった小さな兄弟への不安の表れ。それを乗り越え、成長をしているところです。

モンテッソーリ教育やレッジョ・エミリア教育では、
子どもは生まれながらに能力と尊厳を持った存在とされています。
つまり、上の子の行動も一人の市民としての“自己主張です。

子どもへ尊敬と尊重の気持ちを持とう

子どもは「親の所有物」ではなく、自分の意思と感情を持つ独立した存在です。
育児をしていると、その部分を勘違いしがちです。
大人は子どもの主張を受け止め、「ともに学ぶ仲間」としての姿勢を忘れないことが大切です。

たとえば上の子が赤ちゃんに嫉妬して乱暴な行動をとったとき、
「ダメ!」と制止するだけでは、子どもは「理解されない」と感じてしまいます。
その前に、

「ママを取られたようで、悲しかったんだね」
と、感情の言語化で尊重を伝えましょう。

子どもの行動を“問題”として見るのではなく、“気持ちを表現している人”として見つめ直すこと。
これがモンテッソーリ流の「尊敬」です。

感情の共有と共感による安心感💕

子どもが本当に求めているのは、評価ではなく共感です。
「すごいね」「えらいね」よりも、

「うれしいね」「楽しかったね」と、気持ちを一緒に感じてくれること。

モンテッソーリ・メソッドには「褒めるより共感を」という言葉があります。
上の子が赤ちゃんのお世話をしたときは、
「えらいね」や「ありがとう」だけではなく、

「○○ちゃんがしてくれてうれしい!赤ちゃんも安心してるね」
と、気持ちのやりとりを意識して伝えましょう。

そして、抱きしめる、微笑む――それだけでも、子どもは「自分の居場所」を感じます。
特に愛着関係を築くといわれる3歳くらいまでは、親や養育者があたたかく応え、しっかりと関わってあげてください。
乳幼児期に愛着関係がうまく築かれると、「安心できる基地」を持つことができ、子どもの情緒安定や自己肯定感、社会性の発達に大きく影響します

コミュニケーションの鍵は親の「聴く力」

上の子が甘えたり、反抗したりするとき、まず必要なのは「聴く」ことです。
アクティブ・リスニング(積極的傾聴)とは、子どもの話に100%の注意を向け、
批判せずに受け止める関わり方です。

「そう感じたんだね」「それはイヤだったね」
と、ただ聴き、受け止めるだけで、子どもの心は落ち着きます。

一方で、批判・脅し・罰など「ぶつかる習慣」は関係を悪化させます。
上の子の行動がどんなに困ったように見えても、
「悪いことをやめさせる」のではなく、
「どんな気持ちが隠れているか」を見つけてあげましょう。

肯定的な関わり方 ―「つながる7つの習慣」

上の子との関係修復には、「ぶつかる」よりも「つながる」関わりを意識することが大切です。
子どもは、親からの愛情や安心感を求めて様々な行動を見せます。上の子が嫉妬や赤ちゃん返りをしても、怒ったり批判したりするのではなく子どもを尊重し、感情に寄り添いながら関わることが関係改善のカギになります。

具体的には、以下の7つの習慣を日常の子育てで意識しましょう。

応援する
 - 子どもが自分で挑戦したいことを見守り、できる力を信じてサポートします。
 - 例:「今日はひとりで靴を履いてみようね」「次はどうしたらいいか、一緒に考えてみよう」と挑戦を後押しする。

励ます
 - 失敗したときや思うようにいかないときにも、勇気づけて再挑戦を促します。
 - 例:「大丈夫、頑張ってるから次はきっと出来るよ」と前向きに声をかける。

信頼する
 - 子どもの出来る力ややってみたい気持ちを尊重し、口出しせずに見守ります。
 - 例:工作やお手伝いを任せ、失敗しても手助けせず見守る。

受け入れる
 - 子どもの感情や行動を否定せず、いったんありのままを受け止めます。
 - 例:「怒ってもいいんだよ」「悲しくても大丈夫」と共感する。

アクティブ・リスニング
 - 子どもの気持ちや声に耳を傾けること。、子どもに対して100%の注意を向け、その話を無条件に聞き入れます。子どもは「自分の気持ちを理解してもらえた」と感じます。
 - 例:上の子が赤ちゃん返りでぐずったときも、すぐに注意せず、気持ちを言葉にして返す。

尊重する:子どもを大人と同じ権利を持った一人の人間として認め、一人の個人として敬うこと。上下関係を強要しないようにすることが大切です。

違いを話し合う:意見や価値観の違いが出た時も、どちらが正しいかを決めたり大人の結論を押し付けたりせず、歩み寄る努力をしましょう。


💡 ポイント

怒るのではなく、子どもの人権を尊重した7つの習慣でつながることで、親子の絆が強まり、自然に兄弟関係も安定していきます。

上の子の嫉妬や赤ちゃん返りは「愛されたい」というサインです。


下の子が生まれたときの「上の子サポート環境」

下の子が生まれた瞬間、家庭のバランスは大きく変わります。
上の子の心を支えるためには、環境づくりが欠かせません。

モンテッソーリの「秩序の敏感期」を意識する

2〜4歳ごろの子どもは、「いつもと同じ」が安心の基盤。
赤ちゃんが家に来て日常が変わると、上の子は不安感などで混乱します。

そのため、

  • 朝の支度や就寝前のルーティンはなるべく変えない
  • 「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼び方を急に変えない
  • 赤ちゃんのお世話に上の子を無理に参加させない
    ことが大切です。

自分のペースを守れる環境こそが、上の子にとっての安心になります。

「自分専用の役割」を与える

モンテッソーリ教育では、子どもは「人の役に立ちたい存在」とされています。
上の子が「お世話したい」と言ったときは、
「おむつを取ってくれる?」「タオルを渡してくれる?」など、できる範囲で任せることが効果的です。

そのとき、

「ありがとう、助かったよ」ではなく、
「○○がしてくれたから赤ちゃんが気持ちよさそうだね」
と、関係性を中心に伝えるのがポイント。

「赤ちゃんに優しい自分」になれる経験が、上の子の自己肯定感を育てます。


きょうだいげんかの見守り方と介入のコツ

きょうだいげんかは、子ども同士の「社会の練習」です。
子どもは自分で関係を調整する力を持っていると考えます。

すぐに仲裁しないで

「どっちが悪いの?」と大人が介入する前に、まず観察をします。
子どもたちは、言葉や行動でコミュニケーションを学んでいる最中です。

どうしても手が出てしまったり、けがをしてしまいそうは時には
「叩くと、〇〇ちゃん(相手)が痛くて悲しい思いをするから、やめようね
行為が相手や周囲に与える影響を伝えて行動を止める声かけを。

危険な状況では「ダメ」もやむを得ませんが、望ましくない行動を止める際は、「叱る」のではなく「伝える」という考え方を強調することが望ましく、特に、子どもが行動と結果の因果関係を理解し、相手を思いやる気持ちを生むためにも、なぜその行動が好ましくないのか、具体的な理由を説明することが重要です。

好ましくない行動の理由を説明することで、子どもは「罰から逃れること」だけを意識するのではなく、行動の重要性を理解できるようになります。

また、安全に関わるルールを伝える際は、「一貫性のある態度」できっぱりと伝えることが大切です。

そのうえで、仲裁に入った親の気持ちも添える、「あなたがぶつかり合っているのを見て、私はとても悲しい気持ちになったよ」といった私メッセージを送り、その上で「〇〇ちゃんは貸してほしかったんだね」と相手の気持ちに寄り添うと、より効果的です。

もし、「あなたメッセージ」(例:「あなたが手を出したからケンカになったんじゃないの」)を送ってしまうと、子どもは責められたと感じ、攻撃的になったり言い訳をしたりして、関係が悪化する原因となります。

上手な仲裁の対応を大人が繰り返すことで、子ども自身が「気持ちの交通整理」を覚えていきます。


きょうだいを通して育つ「思いやりと自己肯定感」

モンテッソーリ教育の目的は、自立と他者への尊重です。
きょうだい関係はその両方を育てる絶好の場です。

上の子は「教える力」を通して成長する

子どもの自信を育むためには、「人中心の褒め方」や「おざなりな褒め方」を避け、「プロセス褒め」を意識します。下の子に教えた結果(例:うまくできたね)ではなく、上の子が教えるために努力した過程、挑戦した姿勢、やり方に言及して励ますことが大切です。

例:「根気強く、何度も教え方を変えてみていたね」「教えるためにいろんな方法を試したね」と具体的に認めましょう。

上の子は「教える力」を通して成長する。「できる自分」を意識することが、自信につながります。

下の子は「見て学ぶ力」で育つ

下の子は、上の子の姿を通して生活習慣や言葉の使い方を自然に学びます。
それが「模倣」から「自立」への第一歩になります。

この成長を促すため、大人は子どもの活動を否定的に制限しないことが重要です。
きょうだい間の学び合いを邪魔しないよう、大人は口出しを控えるのはもちろん、「危ないからダメ」「散らかるからダメ」といった否定的な言葉を極力使わないようにすることが、子どもの柔軟性や意欲を育みます。

きょうだいは競い合う関係ではなく、お互いを映す鏡です。
大人は口を出して注意するのではなく、その姿を温かく見守るのが仕事です。
それがうまくいくと家庭全体に安心感と調和が広がります。


まとめ:きょうだい関係は「親子の学びと成長の場」

上の子の嫉妬や下の子の成長の陰には、「自分は大切にされている(愛されたい)」という感覚と、「信頼できる大人と感情を分かち合いたい(つながりたい)」という共通の強い願いがあります。

モンテッソーリ教育の本質は、大人が子どもを外側からコントロールすることではなく、子どもが生まれながらに持つ「自己教育力」を信じ、その力が発揮されるよう発達段階に見合った環境を整えることにあります。

きょうだい関係の中で起こるすべての出来事は、親が「ぶつかる7つの習慣」を避け「つながる7つの習慣」を意識的に実践する親にとっても「学び直しのチャンス」です

繰り返す感情のぶつかり合いを恐れずに、まず否定的な言葉を避け、子どもの主張を尊重し、その中にある子どもの思いをアクティブ・リスニング(傾聴)で受け止め、共感で照らしていきましょう

親の心からの満足度が高いことは、子どもの成長にとっても非常に大切です。完璧な親を目指さず、自分にも優しく、つながる習慣を一つからでも実践していくことで、きっとその先に、家族を包み込む安心感と調和が見えてくるはずです

📚 参考文献

島村華子(2020)自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方ディスカヴァー・トゥエンティワン

堀田はるな(著) 堀田和子(監)(2018)子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド―『自律した子』の育て方すべて』あさ出版

モンテッソーリ教師あきえ『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』すばる舎

モンテッソーリ教師あきえモンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック宝島社


引用・出典
本文中の理論・引用内容は、マリア・モンテッソーリおよび関連教育法(モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育・選択理論心理学・親業訓練法)の文献を参考に構成しています。

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