「何度言ってもやらない」「わざと悪いことしてる」「つい怒鳴ってしまった」――小さな子を育てていると、叱る場面は日常の中にたくさんありますよね。けれど、0〜2歳の子どもに“叱る”って、そもそも必要なのでしょうか?
本記事では、児童心理学や島村花子さん著『自分でできる子に育つほめ方・叱り方』の考え方をもとに、保育士の現場経験も交えながら「しつけ」「叱り方」「感情の受け止め方」をお伝えします。
0〜2歳の「しつけ」は“叱る”より“伝える”

島村花子さんは「0〜2歳の子どもに“叱る”より“伝える”が大切」と述べています。
この時期の子どもは、まだ“善悪”を理解して行動しているわけではありません。叱られても「なぜいけないのか」がわからないのです。
たとえばこんな場面:
- コップの水をわざとこぼす
- お友だちをたたく
- 「イヤ!」と何でも拒否
そんなとき、「ダメでしょ!」と怒るよりも、
👉「びっくりしたね。お水は飲むものだよ」
👉「痛かったね。手はなでなでする手だよ」
と行動の意味を伝える言葉に置き換えてみましょう。
叱るときのポイントは「短く・落ち着いて・その場で」

児童心理学者ハイム・ギノット博士は「叱るのは行動に対してであって、人格に対してではない」と言っています。
叩いたあなたが嫌いだから言ってるのではない、叩く行為がママは好きじゃないの、という気持ちで接することが信頼関係を壊さないコツです。
0〜2歳児に長い説教は伝わりません。伝えるときのポイントは次の3つ。
- 短く伝える:「ダメ」ではなく、「〜しようね」など、次の行動を示す。
椅子の上で立ち上がった→だめ!ではなく「おりましょう」 - 落ち着いた声で:大きな声よりも、低く穏やかな声のほうが伝わります。
大声は子どものテンションを無駄にあげてしまうことにもつながります。 - その場で伝える:後から叱っても、子どもはもう何を叱られているか忘れてしまいます。
叱ってあげるチャンスはその時だけです。
叱ったあとのフォローが、しつけの“育ち”を変える

叱ったあとに大切なのは、「怖かったね」「ママも悲しかったよ」と感情のつながりを取り戻すこと。
叱られたあとに抱きしめてもらえることで、子どもは
「叱られても、私は愛されている」
という安心感を持てます。
この“安心の積み重ね”こそが、子どもが自分で行動を調整できる力につながります。
特に0~2歳は安心を積み重ねて信頼関係を築く時期です。たっぷりの愛情を注ぎましょう。
「イヤイヤ期」は成長のチャンス

2歳頃になると始まるイヤイヤ期。
実はこれは、「自分でやりたい」という自我の芽生えです。
脳の発達が進み、思い通りにいかないことへの不満を表現できるようになった成長の証拠です。
大変な時期ではありますが、我が子が健やかに成長していると思って乗り越えましょう。
保育現場でよくある対応
- 複数の選択肢から選ばせる
「やだ!」と靴を履かない子 → 「どっちの靴から履く?」
トイレに行きたくない→「ママと行く?パパと行く?」 - 気持ちを受け止める
食事を投げる子 → 「もういらないのね。じゃあ片付けよう」
おもちゃ箱をひっくり返す→「全部出して見たかったんだね。一緒に戻そうか。」
叱るよりも「気持ちを言葉にする」「選択肢を渡す」ことで、自己主張と自立を育てていけます。
時間がないのに着てくれない、履いてくれない、おもちゃは散らかす…いらっとすることもありますが、冷静に叱ったりせずに受け止められると子どもはどんどん成長してくれるはずです。
3歳以降に出てくる「わかっているのにしてしまう」行動には

3歳頃からは「ダメとわかっていてしてしまう」姿も見られます。
この時期は「自分でコントロールしたい」という欲求と、「ルールを守る力」のせめぎあい。
たとえば、友だちのおもちゃをを横からとってしまった場合――
ただ「ダメでしょ!」ではなく、
「貸してほしかったんだね」「次は“かして”って言ってみようね」
と、まず気持ちを言葉にしてうけとめる、そして次の行動の提案をセットにして伝えます。それを繰り返すうちに、心が育っていきます。
保育士から保護者へ:叱るより“伝える”で信頼を育てよう

保育園でも、毎日のように子どもたちは小さなトラブルを起こします。
私たちが大切にしているのは、「叱ること」ではなく「伝えること」「関わりを切らないこと」。
0〜2歳の“しつけ”は、社会的ルールを教えながらも
「あなたは大切だよ」「わかっている👌」と伝えることの積み重ねです。
その安心感があってこそ、子どもは少しずつ「自分でできる子」へと育っていきます。
まとめ

| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 0〜2歳には“叱る”より“伝える” | 行動の意味を教えるように声かけを |
| 叱るときは「短く・落ち着いて・その場で」 | 感情的に怒鳴らない |
| 叱ったあとはフォローを | 抱きしめて安心を取り戻す |
| イヤイヤ期は自立の始まり | 気持ちを言葉にして代弁する |
| 3歳以降は「気持ち+次の行動」を教える | 感情理解と社会性の発達を支える |
🌷おわりに
叱ることは悪いことではありません。
ただ、叱り方ひとつで、子どもの心に残るものが「恐れ」になるか「信頼」になるかが大きく変わってしまいます。
感情的に怒りを表すのは叱ることではありません。ママが怒っているという感情しか子供には伝わらないからです。
この時期の信頼関係の構築は、これから迎える思春期の乗り越え方にも大きく影響が出ると私は思っています。
乳幼児期の「叱ること=伝えること」だと、少しずつ意識を変えていきましょう。
親子の信頼と子どもの自立の第一歩になります。
📚参考文献・出典
本記事の一部内容・考え方は以下の文献・専門家の知見をもとに構成しています。
- 島村花子『自分でできる子に育つほめ方・叱り方』(すばる舎)
──0〜2歳の「叱る」より「伝える」関わり方についての考え方を参考。 - ハイム・ギノット『子どもを伸ばす言葉 子どもをダメにする言葉』(草思社)
──叱る対象を「行動」に絞るという児童心理学の視点を引用。 - トマス・ゴードン『親業』(大和書房)
──「行動の背景にある感情を理解する」育児コミュニケーション理論を参考。 - 保育現場での実践および筆者の保育士経験をもとに執筆。



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