待望のふたりめの赤ちゃん誕生。でも、上の子の「やきもち」や「赤ちゃん返り」に困ってしまうご家庭も少なくありません。
「どうして急にわがままになっちゃったの?」「赤ちゃんを叩いてしまった。どう伝えてあげればいいの?」と悩むこともあるでしょう。
でも、この行動は上の子が新たな環境に適応しようとしている「成長のプロセス」です。「愛されたい」「役に立ちたい」という気持ちからの行動であり、この時期の関わり方はとても重要です。
この記事では、モンテッソーリ教育とレッジョ・エミリア教育の考えをもとに、子どもを尊重し「共に育つ」ための具体的なヒントをお伝えします。
上の子の嫉妬と「赤ちゃん返り」を理解する

下の子が生まれると(おなかにいる頃から)、上の子の様子が急に変わることがあります。「自分もまだ愛されたい」「ママを取り戻したい」という気持ちと、今まで存在しなかった小さな兄弟への不安の表れです。
モンテッソーリ教育では、子どもは生まれながらに能力と尊厳を持った存在とされています。上の子の行動も、一人の人間としての自己主張なのです。
子どもへの尊敬と尊重を忘れずに
子どもは「親の所有物」ではなく、自分の意思と感情を持つ独立した存在です。大人は子どもの主張を受け止め、「ともに学ぶ仲間」としての姿勢を忘れないことが大切です。
上の子が嫉妬して乱暴な行動をとったとき、「ダメ!」と制止するだけでは「理解されない」と感じてしまいます。まず「ママを取られたようで、悲しかったんだね」と感情を言語化して尊重を伝えましょう。
感情の共有と共感による安心感
子どもが本当に求めているのは、評価ではなく共感です。「すごいね」「えらいね」よりも、「うれしいね」「楽しかったね」と気持ちを一緒に感じてくれること。
上の子が赤ちゃんのお世話をしたときは「えらいね」だけでなく、「○○ちゃんがしてくれてうれしい!赤ちゃんも安心してるね」と気持ちのやりとりを意識して伝えましょう。抱きしめる、微笑む――それだけでも、子どもは「自分の居場所」を感じます。
特に3歳ごろまでは、親や養育者があたたかく関わることで愛着関係が育まれます。乳幼児期の愛着形成は情緒安定・自己肯定感・社会性の発達に大きく影響します。
コミュニケーションの鍵は親の「聴く力」
上の子が甘えたり反抗したりするとき、まず必要なのは「聴く」ことです。「そう感じたんだね」「それはイヤだったね」とただ聴き受け止めるだけで、子どもの心は落ち着きます。
批判・脅し・罰など「ぶつかる習慣」は関係を悪化させます。「どんな気持ちが隠れているか」を見つけてあげましょう。
肯定的な関わり方|つながる7つの習慣
上の子との関係には、「ぶつかる」よりも「つながる」関わりを意識することが大切です。
- ①応援する:子どもが挑戦したいことを見守り、できる力を信じてサポートする
- ②励ます:失敗しても「大丈夫、次はきっとできるよ」と前向きに声をかける
- ③信頼する:口出しせずに見守る。お手伝いを任せ、失敗しても手助けしない
- ④受け入れる:感情や行動を否定せず「怒ってもいいんだよ」「悲しくても大丈夫」と共感する
- ⑤アクティブ・リスニング:100%の注意を向けて話を聴く。上の子がぐずったときも気持ちを言葉にして返す
- ⑥尊重する:子どもを一人の人間として認め、上下関係を強要しない
- ⑦違いを話し合う:どちらが正しいかを決めるのではなく、お互いに歩み寄る
下の子が生まれたときの「上の子サポート環境」

モンテッソーリの「秩序の敏感期」を意識する
2〜4歳ごろの子どもは「いつもと同じ」が安心の基盤です。赤ちゃんが来て日常が変わると上の子は混乱します。朝の支度や就寝前のルーティンはなるべく変えず、「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼び方を急に変えないことも大切です。
「自分専用の役割」を与える
モンテッソーリ教育では「子どもは人の役に立ちたい存在」とされています。「おむつを取ってくれる?」「タオルを渡してくれる?」などできる範囲で任せましょう。
そのとき「ありがとう」だけでなく、「○○がしてくれたから赤ちゃんが気持ちよさそうだね」と関係性を中心に伝えると、上の子の自己肯定感が育まれます。
きょうだいげんかの見守り方と介入のコツ

きょうだいげんかは、子ども同士の「社会の練習」です。すぐに仲裁せず、まず観察しましょう。子どもたちは言葉や行動でコミュニケーションを学んでいる最中です。
どうしても手が出そうなときは「叩くと、○○ちゃんが痛くて悲しい思いをするから、やめようね」と行動が相手に与える影響を伝えましょう。「ダメ」ではなく「伝える」という姿勢を大切に。
仲裁に入った際は「あなたが手を出したからケンカになった」(あなたメッセージ)ではなく、「ぶつかり合っているのを見て、私はとても悲しい気持ちになったよ」(私メッセージ)で伝えると、子どもは責められたと感じずに受け取れます。
きょうだいを通して育つ「思いやりと自己肯定感」

上の子は「教える力」を通して成長する
下の子に何かを教えた結果ではなく、教えるために努力した過程を認めましょう。「根気強く、何度も教え方を変えてみていたね」と具体的に伝えることが自信につながります。
下の子は「見て学ぶ力」で育つ
下の子は上の子の姿を通して生活習慣や言葉の使い方を自然に学びます。きょうだい間の学び合いを大人が邪魔しないよう、口出しを控えることが子どもの柔軟性と意欲を育みます。
まとめ|きょうだい関係は「親子の学びと成長の場」

上の子の嫉妬や赤ちゃん返りの背景には、「愛されたい」「つながりたい」という共通の願いがあります。
大切なのは、子どもを外側からコントロールしようとするのではなく、子どもが生まれながらに持つ「自己教育力」を信じて環境を整えること。完璧な親を目指さず、自分にも優しく、つながる習慣を一つからでも実践していきましょう。
きっとその先に、家族を包み込む安心感と調和が見えてきます。
参考文献
- 島村華子(2020)『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 堀田はるな・堀田和子(2018)『子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド』あさ出版
- モンテッソーリ教師あきえ『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』すばる舎
- モンテッソーリ教師あきえ『モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック』宝島社



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