「今朝、熱が出ちゃったんです。今から来てもらえますか?」
ベビーシッターの仕事をしていると、朝いちばんに、こんなご相談をいただくことがあります。
お仕事に出かける直前の、いちばん慌ただしい時間です。電話の向こうから、「どうしよう」という気持ちが、そのまま伝わってきます。
子どもが熱を出した朝は、本当に大変です。
仕事を休むのか。病院はどこへ行くのか。祖父母に頼めるのか(ご実家が遠ければ、遠方から駆けつけてもらうこともあります)。病児保育は使えるのか。
私自身も、子どもが小さかった頃、熱を出した日にいつもの病院がお休みで、慌てたことがあります。
パソコンで病院を検索して、診療時間を調べて、また別の病院を探して……。気づけば時間ばかりが過ぎていました。
子どもの具合が悪いだけでも心配なのに、その横で一から調べものをするのは、思っている以上に疲れます。
だからこそ、熱が出る前に、少しだけ準備しておく。
それだけで「熱が出た朝」の大変さは、かなり減らせると思っています。
今回は、保育士・ベビーシッターとして、そして子育てをしてきた一人の親として、「普段から備えておくと安心」と感じていることをまとめます。

2026年、東京都ではインフルエンザの流行が早く始まっています
東京都は2026年8月27日、都内でインフルエンザが流行開始の目安を超えたと発表しました。
さらに9月17日には、都内の流行が「注意報」の基準を超えたと発表しています。前年より1か月以上早い時期です。
「まだ暑い日もあるのに、もうインフルエンザ?」
そんな感覚になりますよね。
けれど、今年は秋が深まる前から、すでに流行が始まっています。
保育園や幼稚園、学校など、子どもたちが集団で過ごす場所では、感染症が広がることもあります。
流行状況は変わっていきますので、お住まいの地域の最新情報は、自治体や保健所などの公式ページで確認してください。
「いつから園に行ける?」も、熱が出る前に知っておく
インフルエンザと診断されたとき、次に気になるのが、
「いつから保育園や幼稚園に戻れるの?」
ということではないでしょうか。
こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、インフルエンザの登園のめやすとして、
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」
と示されています。
幼児の場合は、「発症後5日」と「解熱後3日」の両方を満たす必要があります。
ここで間違えやすいのが、日数の数え方です。
発症した日は数えず、翌日を1日目として数えます。解熱についても、熱が下がった当日は数えず、その翌日から数えます。
実際に数えてみると、「思っていたより長い」と感じる方もいるかもしれません。
仕事をしている家庭では、数日間の予定をどうするかも考えておく必要があります。
なお、登園再開時の書類の扱いは園によって異なります。
医師の意見書や、保護者が記入する登園届が必要かどうかは、園や自治体によって取り扱いが違います。
「インフルエンザになった場合、登園するときに何が必要ですか?」
熱が出る前に、一度園へ確認しておくと安心です。
普段から備えておきたい4つのこと
1.「何曜日なら、どこの病院へ行くか」を決めておく
私がいちばんおすすめしたいのが、これです。
かかりつけの小児科があっても、毎日診療しているとは限りません。
「木曜日はいつもの小児科がお休み」
「土曜日の午後は診てもらえない」
ということもあります。
そこで、
「月〜水曜日ならここ」
「木曜日ならここ」
「休日ならここ」
というように、第2、第3候補まで決めておくと安心です。
私が子育てをしていた頃は、地図を印刷して病院に印をつけていました。
今ならGoogleマップなどに「子どもの病院」という保存リストを作っておくのも便利ですね。
ただし、ネット上の診療時間が変更されていることもあります。実際に受診するときは、医療機関の公式サイトや電話などで、その日の診療状況を確認してください。
小児科だけでなく、転んでけがをしたときのための整形外科、口や歯をぶつけたときの歯科なども、近くの医療機関を調べておくと役立ちます。
熱が出た日に「病院探し」から始めるのは、本当に消耗します。
今日のうちに、候補を2つ、3つ決めておく。
それだけでも十分な備えです。
2.家に「冷やせるもの」を用意しておく
発熱したときのために、家庭に保冷剤をいくつか用意しておくと便利です。
千葉市消防局の救急受診ガイドでは、子どもを冷やす場合、わきの下や足の付け根に、タオルで包んだ保冷剤や、濡らしてよく絞ったタオルを当てる方法が紹介されています。
一方で、寒気があるときには温かくし、冷やすのを嫌がる場合には無理に行う必要はないとされています。
「熱があるから、とにかく冷やさなければ」と考えるのではなく、子ども本人が少し楽に過ごせるかどうかを見ながら使うのがよさそうです。
保冷剤を使う場合は、肌に直接当てず、タオルなどで包みます。小さなお子さんの場合は、保冷剤を口に入れたり、中身が漏れたものを触ったりしないよう、大人がそばで見ていてください。
冷却シートを使うご家庭もあると思います。
製品によって対象年齢や注意事項が異なるので、使用前にパッケージを確認しましょう。
「前にも使ったから大丈夫」ではなく、迷ったら小児科や薬剤師さんに確認する。
子どものものは、それくらい慎重でちょうどいいと思っています。
3.夜間・休日の相談先「#8000」をスマホに入れておく
病院が閉まっている時間の「どうしよう」を支えてくれる相談先のひとつが、
「#8000(子ども医療電話相談/小児救急相談)」
です。
子どもの急な病気やけがについて、看護師などの専門職に電話で相談できます。地域によっては、必要に応じて小児科医が対応します。
電話で診断をするものではありませんが、
「今すぐ受診したほうがいい?」
「朝まで様子を見ても大丈夫?」
と迷ったときに、状況を整理する助けになります。
東京都では、2026年10月現在、平日は午後6時から翌朝8時まで、土曜・日曜・祝日・年末年始は午前8時から翌朝8時まで受け付けています。
#8000が利用できない電話の場合は「03-5285-8898」です。
受付時間は都道府県によって異なるので、お住まいの地域の時間を一度確認し、電話番号と一緒にスマホへ登録しておくと安心です。
また、千葉市消防局のページでは、受診を考える目安として、生後3か月未満で38℃以上の発熱がある、水分が十分にとれない、尿の量が減っているなどが挙げられています。「いつもと明らかに様子が違う」と感じるときも、早めに医療機関へ相談してください。
明らかに緊急性が高い場合は、119番を利用します。
「迷っているときに調べ始める」のではなく、「迷ったらここ」と決めておくことが大切です。
4.病児保育など「頼れる先」は、熱が出る前に登録する
熱が出た朝に、初めて預け先を探し始めても、すぐに利用できるとは限りません。
だからこそ、病児保育などの仕組みは、熱が出る前に一度調べておくのがおすすめです。
たとえば練馬区には、病児・病後児保育があります。
2026年10月現在、区の案内では、生後6か月から10歳未満で、保育所などに通所している子どもが対象とされています。
保育料は1日2,000円で、別途給食費などが必要です。登録料はありません。利用期間は、原則として一つの病気につき6日間です。
区内には8つの病児・病後児保育施設があります。
大切なのは、「具合が悪くなってから登録する」のではなく、事前登録が必要だということ。
利用するときには主治医の診察を受け、「診療情報提供書」を用意し、利用希望日の前日までに施設へ予約するという流れになっています。
自宅で保育しているお子さんなど、対象になるか分からない場合は、区や施設へ事前に確認してください。
もちろん、制度は自治体によって違います。
「○○区 病児保育」
「○○市 病児・病後児保育」
などで、ご自宅の地域の制度を一度調べてみてください。
ベビーシッターも、頼れる先のひとつです。
ただし、病気の子どもに対応しているか、インフルエンザなどの感染症でも依頼できるか、当日依頼が可能かなどは、事業者やシッターによって異なります。
「病気になったらお願いできますか?」
熱が出る前に一度確認しておくと、いざというときの選択肢になります。

練馬区では、子どものインフルエンザ予防接種費用の助成もあります
もうひとつ、今の時期に確認しておきたいのが予防接種です。
練馬区では2026年度、生後6か月から高校3年生相当までの方を対象に、小児インフルエンザ任意予防接種の費用を一部助成しています。
対象期間は、2026年10月1日から2027年1月31日までです。
助成額は、注射のワクチンは1回2,000円で、生後6か月から12歳までは2回、13歳から高校3年生相当は1回まで助成されます。経鼻の生ワクチンは、2歳から高校3年生相当までが対象で、1回4,000円です。
インフルエンザワクチンは任意接種です。
接種するかどうかや、お子さんの体調・接種時期について迷う場合は、かかりつけの先生に相談してください。
まとめ|「熱が出る前の10分」が、熱が出た朝の自分を助けてくれます
子どもの熱は、予定を選んでくれません。
忙しい朝かもしれないし、病院がお休みの日かもしれません。
だから、全部を完璧に準備する必要はありません。
まずはひとつだけ。
- 近くの小児科を第2候補まで決めておく
- 保冷剤を用意しておく
- #8000をスマホに登録する
- 病児保育の利用条件と事前登録を確認する
これだけでも、いざというときの負担は変わります。
私自身、子育てをしていた頃に「調べておけばよかった」と思ったことが、何度もありました。
今日の夕方、かかりつけの病院の「休診日」をひとつだけ確認してみてください。
10分もかからないかもしれません。
その10分が、いつか熱が出た朝の自分を、きっと少し助けてくれます。🍀
※この記事は、保育士・ベビーシッターとしての経験と、公的機関が公開している情報をもとに、家庭での備えについてまとめたものです。診断や治療を目的としたものではありません。お子さんの症状や受診について迷う場合は、かかりつけの医療機関や#8000などにご相談ください。緊急性が高い場合は119番をご利用ください。

参考・出典
- 東京都「東京都内でインフルエンザが流行開始」(2026年8月27日)
- 東京都「都内のインフルエンザ、注意報基準を超える」(2026年9月17日)
- 東京都感染症情報センター「インフルエンザの流行状況」
- 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年10月一部修正)(こども家庭庁)
- 発熱(こども)(千葉市消防局)
- 子供の健康相談室(小児救急相談)#8000(東京都)
- 病児・病後児保育(練馬区)
- 小児インフルエンザ任意予防接種費用の一部助成(練馬区)
※制度・受付時間・流行状況等は変更される場合があります。利用時には各自治体・医療機関等の最新情報をご確認ください。


コメント