子どもの紫外線対策、帽子や日焼け止めはしていても、「目」まではまだ…というご家庭も多いのではないでしょうか。
眼鏡市場が2026年に行った調査では、中学生以下の子どもを持つ保護者1,383人のうち、7割をこえる72.7%が「子どもの紫外線対策は重要」と答えています。でも実際にしている対策を見ると、帽子が66.4%、日焼け止めが60.9%なのに対して、サングラスは11.2%、UVカットの眼鏡やレンズは6.1%でした。
私がシッターで伺っていたご家庭の中には、家族みんなでサングラスをかけてお出かけするところもありました。食事のことなども含めて、健康への意識がとても高いご家庭で、紫外線対策もそのひとつでした。子どもも慣れた様子でかけていたのを覚えています。
一方で、保育園でサングラスをかけている子は、一度も見たことがありませんし、話に聞いたこともありません。(小さな子の持ち物は、なくしたり壊したりしやすいので、園としては管理がむずかしいのかもしれません。ここは私の想像です)
そんな中、2026年8月に、日本眼科学会など眼科の6つの団体が、子どものサングラスについての見解を出しました。今回は、その内容をもとに、子どもの目の紫外線対策をまとめてみます。
子どもの目と紫外線、何が心配なの?
紫外線が目に与える影響には、すぐに出るものと、長い年月をかけて出るものがあります。
すぐに出るもの:紫外線角膜炎(雪目)
強い紫外線を浴びたときに、目の表面(角膜)が炎症を起こすものです。白目の充血、ゴロゴロする感じ、涙が出る、ひどいと強い痛みが出ます。昼間に浴びて、夜から翌朝にかけて症状が出ることが多く、たいていは1〜2日で自然に治まります。雪山で起きる「雪目」が有名です。
長い年月をかけて出るもの:翼状片(よくじょうへん)、白内障
翼状片は、白目が黒目のほうへのびてくる病気で、外で過ごす時間が長い人に多いとされています。白内障は、目の中のレンズ(水晶体)がにごる病気で、日本人に多いタイプの白内障では、紫外線との関係が知られています。
ここで大切なのは、紫外線は「積み重ね」だということです。今日浴びた紫外線が、すぐに病気になるわけではありません。何十年もかけて、少しずつ影響が積み重なっていきます。
秋や曇りの日も、紫外線はある
紫外線がいちばん強いのは、4〜9月です。この半年で、1年の7〜8割の紫外線が降りそそぎます。1日の中では、夏なら10時〜14時の4時間に、1日の約7割が集中します。
じゃあ秋や冬は気にしなくていいのかというと、そうでもありません。つくば(茨城県)の観測では、10月のお昼ごろの紫外線の強さ(UVインデックス)は平均で約6。「強い」の手前くらいあります。
また、薄い雲なら紫外線の8割以上が通りぬけますし、日陰でも、日なたの半分くらいの紫外線は届いています。(曇りの日の公園遊びで、うっかり日焼けしたことがある方も多いはず)
眼科の6団体の見解、ポイントは5つ
2026年8月21日、日本眼科学会、日本眼科医会、日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本近視学会、日本視能訓練士協会の6団体が、「児童生徒のサングラス・カラーレンズ等の使用に関する見解」を出しました。学校でサングラスや色つきの眼鏡を認める動きが広がってきたことを受けたものです。
ポイントを5つにまとめます。
- 紫外線を防ぐ力は、レンズの色や濃さではなく、UVカット性能で決まる。 ふつうの透明な眼鏡レンズにも、UVカットつきのものが多い
- 子どもの紫外線対策の基本は、つばのある帽子、日陰、外で活動する時間の工夫
- 医療として、色つきの眼鏡が必要な子もいる。 目の病気でまぶしさに弱い、手術のあと、片頭痛、感覚過敏などで、医師の判断で使っている子がいる。周りの理解と配慮が大切
- 健康な目の子が、学校生活全般でいつも色つきレンズをかけることを勧める、十分な根拠はない。 学校では色や明るさを正しく見分ける場面が多く、屋内では基本的にいらない。ただし、外で長く活動する部活や、目のけがのおそれがあるスポーツでは、スポーツ用のサングラスや保護眼鏡が役に立つこともある
- 外遊び・屋外活動は、近視の予防に大切。 帽子やサングラスで紫外線対策をしても、外は十分に明るいので、紫外線に気をつけながら、外で過ごす時間をしっかりとってほしい
見解の最後には、「サングラスや色つき眼鏡の使用を一律に制限するものではない」とはっきり書かれています。「サングラスはダメ」ではなく、「一人ひとりの目の状態や生活に合わせて考えてね」という内容です。
小さいうちから、サングラスをかけたほうがいい?
ここからは、私自身がずっと気になっていたことです。
私の世代だと、年を重ねてから急にサングラスをかけはじめる方がまわりに多くいます。(白内障の手術のあとに、かけている方も多いですよね)それを見ていると、「若いうちから、かけられるならかけておいたほうがよかったんじゃないかな」と思うことがあります。小さい子は、自分で日差しを避けることができません。だからこそ、大人が守ってあげたい気持ちがあります。
調べてみると、こんなことが分かりました。
紫外線は白内障の原因のひとつ
環境省の資料でも、紫外線は白内障の危険因子のひとつに挙げられています。WHO(世界保健機関)は、2002年の資料で、白内障の最大2割ほどが紫外線によるものと見積もっています。紫外線が積み重ねで影響するなら、子どものころから浴びすぎないようにすることには意味がある、と考えられます。
「目から入った紫外線で肌が日焼けする」という研究も
大阪市立大学の研究チームが、マウスの目だけに紫外線を当てたところ、肌が日焼けしたという実験結果を発表しています。目の炎症が脳に伝わり、メラニンをつくる指令が出るためと説明されています。ただし、これはマウスの実験で、人で同じことが起きるかは、まだはっきりしていません。
白内障の手術のあとにかけるサングラス
白内障の手術のあとは、入れた眼内レンズが青い光を通しやすいため、景色が青白く見えることがあり、その対策としてサングラスをすすめられることもあるそうです。若いころにかけていなかったから、というだけの理由ではないようです。(私も、ここは調べて初めて知りました)
まとめると、「子どものうちから目に紫外線を浴びすぎないようにする」のは、大切なことだと思います。そのいちばんの道具は、眼科の見解でも環境省の資料でも、まずは帽子と日陰です。サングラスは、子どもが嫌がらずにかけられるなら、「帽子にプラスするもの」として、よい選択肢になります。
まずは、帽子・日陰・時間帯
小さい子の紫外線対策は、この3つが土台です。
- 帽子:かぶるだけで、目に入る紫外線が2割ほど減ります。麦わら帽子のような、つばの広い帽子なら、もっと効果があります
- 日陰:日差しの強い時間は、日陰で遊ぶ。ただし日陰でも紫外線はゼロではありません
- 時間帯:真夏のお昼前後は、なるべく外遊びの時間をずらす
赤ちゃんの場合は、日差しの強い9時〜15時ごろを避けて、朝夕のお散歩にするのがおすすめです。薄い長袖を着せて、帽子やベビーカーの日よけを使いましょう。
ただ、紫外線を気にしすぎて、外に出ないのも考えものです。日の光は、骨を作るのに必要なビタミンDを体の中でつくる助けになりますし、外遊びは近視の予防にも大切です。(朝のお散歩の光は、体内時計を整えて、夜の眠りのリズムも助けてくれます。くわしくは寝かしつけの記事で書いています)紫外線とは「上手につきあう」くらいの気持ちでいいと思います。
サングラスを選ぶなら、ここを見る
色の濃さで選ばない
「濃い色のほうが、よく守ってくれそう」と思いがちですが、紫外線を防ぐ力は色の濃さとは関係ありません。
それどころか、色の濃いレンズをかけると、目に入る光が少なくなるので、瞳孔(ひとみ)が大きく開きます。そのため、UVカットが不十分なレンズだと、かえって多くの紫外線が目の中に入ってしまうことがあります。
品質表示の「紫外線透過率」を見る
サングラスは、家庭用品品質表示法という法律で、「紫外線透過率」などの表示が決められています。紫外線透過率が「1.0%以下」と書かれていれば、紫外線を99%以上カットする、という意味です。「UV400」という表示も、紫外線をしっかりカットする目安になります。
また、品名の欄も見てみてください。「サングラス」「偏光サングラス」と書かれているものは、レンズのゆがみなどの基準を満たしたものです。「ファッション用グラス」は、その基準にあてはまらない区分なので、目を守る目的なら、表示をよく確かめてから選びましょう。
顔の大きさに合ったものを
紫外線は、正面からだけでなく、上や横、下からも入ってきます。小さすぎるサングラスや、顔に合っていないものだと、すき間から紫外線が入ってしまいます。顔にフィットするものを選んで、帽子と一緒に使うのがおすすめです。(環境省によると、適切に使えば目に入る紫外線を最大で90%カットできます)
子どもが安全に使えるものを
子どもは走ったり転んだりするので、こわれにくく、外れにくいものを選びましょう。嫌がるときは、無理にかけさせなくて大丈夫です。帽子と日陰があれば、ふだんの外遊びは十分な場面も多いです。
サングラスが役に立つ場面
ふだんの公園遊びは帽子でも、こんな場面では、サングラスがあると安心です。
- 海・砂浜・雪山:地面からの照り返しが強くなります。新雪は紫外線の約8割、砂浜は1〜2割を反射します
- 長い時間、外で過ごす日:運動会やスポーツの試合、レジャーなど
- まぶしがる様子が強い子:自己判断でサングラスを選ぶより先に、一度眼科で相談しましょう
こんなときは眼科へ
- 外で遊んだあとに、白目が赤い、ゴロゴロする、涙が止まらない、目を痛がる
- ふだんから、ひどくまぶしがる
- 学校や園でサングラスを使いたいとき
学校でのサングラスの使用は、学校ごとに判断しているところが多いようです。目のことで気になることがあれば、まずは眼科で相談して、必要なら学校や園に伝えるとスムーズです。
まとめ
- 紫外線は積み重ね。子どものうちから浴びすぎないようにすることは大切
- 基本は、帽子・日陰・時間帯
- サングラスを選ぶなら、色の濃さではなく「UVカット」と顔に合う大きさ
- 外遊びは、紫外線に気をつけながら、たくさん
小さい子は、自分で目を守ることができません。だからこそ、大人がちょっと気にかけてあげたいですね。来年の春、紫外線が強くなる前に、帽子とサングラスの準備をしておくのもいいかもしれません🍀


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